これらの流れはローマ帝国において、一方では法廷弁論術として、他方ではストア派や中期プラトン学派の哲学思考法として継承されたものの、東西の分裂を期に、ギリシャ語圏東ローマ帝国では観想と聖書の霊的解釈学とを重んじたビザンティン・キリスト教思想において次第に弱体化されていく。他方、早くに西ローマ帝国の滅亡といわゆる〈蛮族〉の横行をみたラテン語圏西ヨーロッパでは、哲学の流れは、ヒッポのアウグスティーヌスという古代末期最大の哲学者を生み、命題論としては名辞と名辞の連接、意味論としては名辞とその対象物('Fido'-Fido theoryという揶揄的名称がある)というフレーゲ以前を決定付ける言語哲学が確立された。しかし、その後はボエティウスやアイルランド修道士らをのぞけば細々とした註解作業が11世紀ごろまで続くのみである。
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哲学自体、フランク王国の盛期にヨアンネース・スコートゥス・エリウゲナ(主著『自然位階論』)が偽ディオニシォース・ホ・アレオパギテース(主著『神名論』『神秘神学』)の諸文書をラテン語訳・紹介することを通じて(アンモニオス・サッカスもしくはプロティノスを創始者とする、純粋形相であり最高のイデア一者( το ‘εν)からの質料の加増による存在論的降下の位階構造と、知性的神秘体験による人間霊魂の形相への復帰・合一を理想とする哲学=宗教的運動。これは、オリゲーネース、ヒッポのアウグスティーヌス等を通じてキリスト教神学に多大な影響を与えた)ネオプラトニズムの再導入という形で中世中初期に漸く復興する。